ZSはサクソフォニストのSam Hilmerによって 2000年に結成され、およそ10年に渡る活動の中で、デュオからセクステットまで自在に形態を変化させつつ、ラディカルな地下活動を続けてきた。現在のラインナップは、Animalというプログレッシヴ・ジャム・バンドに在籍していたギタリストのPatrick Higginsと、Liturgy、Guardian Alien、Dan Deacon等との仕事で知られるドラマーのGreg Foxである。ノー・ウェイ ヴ、フリージャズ、ノイズ、ポスト・ミニマリズム、電子音楽、即興演奏等の広大な領域を大胆に横断しながら、肉体的な意味でも精神的な意味でも過激に限界へと挑戦するサウンドが非常に高く評価されている。既存の楽器マニピュレートの域を拡張するユニークな演奏テクニックと、ほとんどテレパシーのようなバンドの呼吸によるコミュニケーションに裏付けられたライヴの強烈さによって叩き出されるその音は、たとえばかつてBattlesの音楽を形容する際に用いられた、「数学と暴力の融合」の発展型にして緻密にリズムを微分するフレーズと限界まで緊張感を高める暴虐性の混交であり、また例えばそれは、ライヒの執拗な反復とフリージャズの覚醒をハードコアへと織り交ぜた激烈なアップデートである。バンドはこれまで、The Social Registry、Torubleman Unlimited、Planaria、Three One G といったレーベルから作品を発表してきており、まずは2007年にPlanariaから発表されたセカンド・アルバム『Arms』によって、ここ日本でも大きく注目された(Planchaによって日本盤仕様で発売されている)。ジャズとマス・ロックの融合を完成させたこのアルバムに続き、さらに2010年にはGang Gang DanceやGrowingを擁する最新型NYアヴァンの牙城、The Social Registryから、フル・アルバムとしては3枚目となる『New Slaves』(日本ではPower Shovel Audioより)をリリース。より肉体的なハードコア性とほとんど怒りにも似た感情の爆発、そして新たに独創的なエレクトロニクスの導入を果たし、『エクスペリメンタル・ミ ュージックの新たなディケイドの幕開け、ニューヨークでもっとも強力なアヴァン・バンドのひとつ』とNew York Timesで絶賛された。2012年に活動10周年を記念したCD4枚組のボックスセット『Score The Complete Sextet Works: 2002-2007』を発表。2013年5月にリリースとなる『Grain』が現在のトリオ編成での初の作品にして彼らの最新作である。